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例えば、こんな...
第3章 御礼
「真純ちゃん試験問題作るの大変そうだったし、俺も勉強頑張るって決めたんで、会うのずーっと我慢してたんです。やっと試験終って会えたのに、離す訳ないでしょう?」
耳元で諭されて背中が震えた。顔がすごく、熱い。
「ね、今日、このまま真純ちゃんちに泊まっても良いですか?」
「えっ?」
予想外の質問に驚いて拓真くんを見上げた。
「親に友達の家に泊まるかもって行ってきたんです」
そう言う彼はいたって真面目で
「真純ちゃんち、泊めて下さい」
ニッコリ笑顔で私を見つめる。
「……」

私だってすごく、逢いたかったよ。
今日逢えるの嬉しくて、飛んで帰って来たぐらい。
もっとずっと、一緒にいたい……けど。
うちに泊まるのは、違うと思う。
それに……もし何かあった時の事を考えずにいられない。私は地元じゃないし、退職すれば今の学校の先生たちとの繋がりも切れる。でも、拓真くんはここが地元で、コレから先も同窓生との関わりは続いていく。ほとぼりは冷めても事ある毎に私との関係を噂される事になってしまう。それはきっと嬉しい思い出にはならない。そんな思いさせられない。
そんなのは、ダメ……
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