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例えば、こんな...
第3章 御礼
拓真くんの背中に両手を回した。キュッと腕に力をこめて
「夜、お家まで送ってあげるから。ギリギリまで、一緒にいよう?」
見上げた拓真くんは苦しそうに眉を寄せていた。
長い沈黙。
じっと私を見下ろしていた拓真くんがゆっくりと目を閉じた。長い睫毛が小さく震えてる。
はぁ、と短く息を吐き
「夜、帰ります」
言って目蓋を持ち上げる。
中から覗いた瞳が切なく見えて、我慢させてばかりで申し訳ない気持ちになった。
「うん、ごめんね」
私が教師じゃなかったらよかったのに……
でもそしたら知り合えない。
…………
知り合わない方が拓真くんは幸せ、だった?
こんなに我慢ばかりさせられて……拓真くんは今、幸せ?
不意に浮かんだネガティブな思考に息が詰まりそうになった。
「……すみちゃん。真純ちゃん」
背中をトントンと軽く叩かれて我に返る。
「大丈夫ですか?」
心配そうに覗き込んでくる拓真くん。優しい瞳。
「大丈夫」
口角をゆっくり引き上げて笑顔を作った。
「ギリギリまで一緒にいてね?」
「……やっぱり帰りたくないです」
言って眉を下げる。その言葉に胸が痛む。でも拓真くんはすぐに
「帰りますけど」
と笑ってくれた。
「夜、お家まで送ってあげるから。ギリギリまで、一緒にいよう?」
見上げた拓真くんは苦しそうに眉を寄せていた。
長い沈黙。
じっと私を見下ろしていた拓真くんがゆっくりと目を閉じた。長い睫毛が小さく震えてる。
はぁ、と短く息を吐き
「夜、帰ります」
言って目蓋を持ち上げる。
中から覗いた瞳が切なく見えて、我慢させてばかりで申し訳ない気持ちになった。
「うん、ごめんね」
私が教師じゃなかったらよかったのに……
でもそしたら知り合えない。
…………
知り合わない方が拓真くんは幸せ、だった?
こんなに我慢ばかりさせられて……拓真くんは今、幸せ?
不意に浮かんだネガティブな思考に息が詰まりそうになった。
「……すみちゃん。真純ちゃん」
背中をトントンと軽く叩かれて我に返る。
「大丈夫ですか?」
心配そうに覗き込んでくる拓真くん。優しい瞳。
「大丈夫」
口角をゆっくり引き上げて笑顔を作った。
「ギリギリまで一緒にいてね?」
「……やっぱり帰りたくないです」
言って眉を下げる。その言葉に胸が痛む。でも拓真くんはすぐに
「帰りますけど」
と笑ってくれた。