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例えば、こんな...
第1章 先生と男子高生
「斎藤くん『河合』先生です」
「真純先生のが良いです」
「いけません」
会う度に繰り返してる会話。真純ちゃんは絶対下の名前で呼ばせてくれない。
「私に聞きたい事って何?」
また笑顔になって
「斎藤くんの質問って、ちょっと緊張するな」
そう言って、少し肩を竦めた。

そりゃそうだ。俺真純ちゃんに誉められたくて、古文超勉強してるもん。この前の中間だって学年トップ譲らなかったし。

「質問って言うか……悩んでる事があって」
声のトーンを落としてゆっくり言うと、真純ちゃんが立ち上がった。
「何か飲みながら話そうか」
手招きして、奥のソファーの方へ呼んでくれる。小さい棚からマグカップを出して
「コーヒーと紅茶どっちが良い?」
俺の方を見て軽く首を傾げた。

あぁ、ヤバイ。
マジ可愛い。

「先生と同じのにして下さい」
「そう?じゃあコーヒーで良い?」
「はい」

あれ?真純ちゃん紅茶派じゃなかったっけ?
俺の記憶違い?

電気ポットのお湯を再沸騰させて、わざわざペーパードリップで淹れてくれた。
トントンと二つ並んだマグカップ。テーブルから、良い薫りが漂う。

……真純ちゃんの、少なくない?
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