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例えば、こんな...
第4章 先生と男子高生 #2
ご丁寧にもケーキの上には卒業おめでとうと書かれた板チョコが乗っていた。千尋と俺の連名で。

めんどくせ……

「千尋飯喰った?」
「ううん」
「じゃあそれ後。パスタ作るからしまってろ」
「はーい」
機嫌よく返事してケーキを箱に戻す。

……嘘泣きか?
何かもう良いけど

俺は千尋に甘い。親バカならぬ兄バカ。仕方ない。こいつの可愛い時期をつぶさに見てきた。きっと誰より知ってる。

鍋に水を張って沸かしながら冷蔵庫を漁る。春キャベツと冷凍アサリ。

……アンチョビあったっけ

食品棚からアンチョビの缶詰めを出して
「千尋辛いの平気か?」
「大丈夫」
「りょーかい」
鷹の爪も少し。

オリーブオイルを火に掛け、ニンニクと鷹の爪の香りを付けてアンチョビを入れ、適当に磨り潰しながら炒める。アサリと白ワインを加えて蓋をして、沸騰してる湯の中に生パスタを放った。
その間に調理器具を片付け、蓋を取ってキャベツを加える。しんなりしたら味を見て塩胡椒で微調整。湯きりしたパスタとオリーブオイルも足して全体を馴染ませ、出来上がり。
超簡単。

「千尋何飲む?」
「リンゴジュース」
「オッケ」
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