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例えば、こんな...
第4章 先生と男子高生 #2
少し焦っていたら、真純ちゃんがクルンと俺の方を向いた。膝と膝が触れ、ドキッとする。
「拓真くん、卒業おめでとう」
溶かされそうに可愛い笑顔で紙袋を差し出された。

気付かれた訳じゃない?

自分の思考の愚かさに情けなくなる。
「……ありがとうございます」
お礼を言って、でも別の理由で受け取るのを躊躇する。
特徴的なストライプの紙袋。それは俺の好きなブランドで、例え小物でも俺には簡単に買える値段じゃない。
「お祝いだから、受け取って?」
ふふふっと笑いながら小首を傾げて下から覗かれた。ドンッと大きく心臓が跳ねる。

……射ぬかれるってこういうの?

続いて早まる心臓を悟られないよう
「あ、ありがとうございます」
ゆっくり返す。
ニッコリ笑った真純ちゃんに手を取られ、紙袋を持たされた。
「開けてみて?」
見守られながら中を改める。小箱に納まっていたのは黒い革のキーホルダー。滑らかな革の内側は鮮やかなストライプ。

すっげ、嬉しい

「凄い、嬉しいです。……ありがとうございます」
思った事がそのまま口に出た。
顔を上げると、優しい笑みの真純ちゃんと視線が絡む。
その口角の上がった可愛い唇にチュッと音を立ててキスをした。
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