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例えば、こんな...
第1章 先生と男子高生
小さな口を丸く窄めて何度か息を吹き掛ける。柔らかそうな唇がマグカップに触れて、クニッと沈む。

やーべー
キスしてー

ついつい見惚れて、内心慌てて視線を外した。

真純ちゃん、俺、狼になりそう。
目一杯優しくするから、美味しく喰われてくれない?
真純ちゃんが気持ち良くなれるように、俺めっちゃ頑張るよ?

半分ほどコーヒーを飲んだ頃
「それで、どうしたの?」
真純ちゃんがいくぶん柔らかくなった笑顔で俺を見た。その目を真っ直ぐ捕えて
「……ます、河合先生は今好きな人っていらっしゃいますか?」
質問すると、真純ちゃんは顔を真っ赤にして瞬きをした。
「えっ?わたっ私?」

どもるとか、動揺し過ぎだから。

焦ったようにマグカップをテーブルに置いて、でもすぐ手に取って。落ち着かない様子が可愛い。
また口元が緩む。コーヒーを飲んで誤魔化したけど、まぁ真純ちゃんは気付いていないだろう。
「なっなんで?私?あっ、斎藤くんの悩みって恋愛の事?」
珍しく早口でそう言って、ソロリと上目遣いで俺に聞いてきた。

うっわ、その顔反則
頬赤くして、上目遣いって……ヤバイ

ドキッと跳ねた心臓。
平気な振りも結構辛い。
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