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暁闇
第8章 好意と好きと
「……翔悟さん、もう寝た?」
それからもいろいろ話をして、寝床にそれぞれ入った頃には、もう深夜2時を過ぎていた。
しばらく経ってもなかなか寝付けず、寝返りを打った俺に、丈が呟く。
「起きてるけど……何? 眠れない?」
言葉を返すと、ん……、と。
暗闇の中、声だけがまた。
「翔悟さん、姉ちゃんのことどう思う?」
「……は? 何だよ、突然……」
まさか、そんなことを聞かれるとは思っていなかった俺は、少なからず動揺して。
質問には答えず、ただ、そんなふうに濁した。
「ん……オレ、翔悟さんならいいな……って思ってんだよね」
「何が」
「姉ちゃんの相手」
「……何で」
「だっていい人だもん。
翔悟さんが彼氏なら、姉ちゃん……幸せになれると思って」
「丈――――」
思わぬ言葉。
俺は何て答えたらいいのかわからなくて。
彼の名を呼んで、あとはただ……黙り込む。
丈は、俺の返事など構わずに話を続けた。