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暁闇
第8章 好意と好きと
「……あおいさん、彼氏いたことねーの?」
そんな丈に、俺は静かに問いかけた。
「たぶん。少なくともオレは知らない」
その、即答。
「姉ちゃんが、男といるとこ見たことない……翔悟さんぐらいかも」
「……そうなんだ」
「なんか、オレも母さんももう何も気にしてないのに。
姉ちゃんだけいつまでも引きずってるっていうかさー」
それは、以前あおいさんに聞いたあのことだろうか。
考え込み、無言になった俺に、丈は
「……あれ? もしかして翔悟さん知らない?」
焦ったようにそう、聞いてくる。
「……何を?」
聞き返すと、んー……と、少し迷ったようにする。
「もしかして、中学のときの?
あと、ご両親の離婚の話、とか」
「あ、そう! それ!」
なんだ聞いてんじゃん、とほっとしたように続ける。