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暁闇
第8章 好意と好きと
「親の離婚のときも、は? って。
……でも、それ聞かされた日の夜、姉ちゃんが部屋でオレに、何回も、ごめんねって謝ってきてさ。全部私のせいなんだ、って」
俺の頭に、あおいさんの言葉が思い出される。
男の子にとってはきっと大事な父親という存在を丈から奪ってしまったのは私だ、と。
そんなふうに彼女は言っていた。
「オレ、リアルにまだガキすぎて、姉ちゃん言ってることの意味なんて、そのときはよくわかんなかったんだけど。
……ちゃんと教えてもらったのは、母さんが再婚するとき。
姉ちゃんが全部教えてくれた。悪いのは全部私だったから、母さんが幸せになってくれるなら自分はすごくほっとする、みたいなこと……オレに言ってきて」
……暗闇の中、俺はただ静かに彼女を思う。
「でも、オレだってこのとおり普通に楽しく生きてる。
だから姉ちゃんももう、自分のことだけ考えて、自分の幸せのために生きればいいのになーって……時々ほんと思うんすよね」
丈の言葉を、聞きながら。