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鼓動
第1章 たすけて
その夜

わたしは窓の外を眺めていた

千切れた綿飴のような雲たちの合間に
いびつなかたちの月が浮かんでる

こつこつと壁の時計がこだまして
時が無機質に流れていった

「あしたは何も起こりませんように」

わたしは月に祈った

ベッドに入り胸に手を合わせると
月と入れ替わるようにして彼の顔が浮かぶ
きゅっと胸がしめつけられる

「寝るときくらい許してほしいな」

彼のことを考えるだけで
幸せになれるわたしは
なんて幸せなんだろう

そっと眼を閉じた
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