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鼓動
第1章 たすけて
夢の中で
わたしは彼と向かい合って立っていた
薄暗い放課後の教室
開いた窓の前で風が髪を揺らしている
彼は薄い唇に小さな笑みを
たたえてわたしを見つめた
わたしがいちばん好きな彼の優しい顔だ
コクられなくてもかまわない
時がずっとこのまま止まってほしい
彼はゆっくりと両手をあげると
わたしの胸の上に手のひらを乗せた
驚いて彼の顔を見上げると
わたしの好きな優しい笑顔は消えて
呪いをかける魔法使いのような
まなこで見つめている
「離して」
叫びたくても声が出ない
もがけばもがくほど喉が
しめつけられて窒息しそう
胸の上にある彼の手を振り払おうと差し出した
右の手にいつの間にか銀色のナイフがあった
なんでこんなものを持っているのだろう?
想い返す刹那もなかった
何かに背中を押されるようにして
右手のナイフは彼の胸を刺していた
刃の先端が骨を突いて擦り
無惨な感触が指先に伝わる
泣き叫びながら夢から覚めた
心臓の鼓動が時計の音を
追い抜いてゆくのが分かる
我にかえったわたしは
胸をしめつけていた
両手をベッドに降ろした
わたしは彼と向かい合って立っていた
薄暗い放課後の教室
開いた窓の前で風が髪を揺らしている
彼は薄い唇に小さな笑みを
たたえてわたしを見つめた
わたしがいちばん好きな彼の優しい顔だ
コクられなくてもかまわない
時がずっとこのまま止まってほしい
彼はゆっくりと両手をあげると
わたしの胸の上に手のひらを乗せた
驚いて彼の顔を見上げると
わたしの好きな優しい笑顔は消えて
呪いをかける魔法使いのような
まなこで見つめている
「離して」
叫びたくても声が出ない
もがけばもがくほど喉が
しめつけられて窒息しそう
胸の上にある彼の手を振り払おうと差し出した
右の手にいつの間にか銀色のナイフがあった
なんでこんなものを持っているのだろう?
想い返す刹那もなかった
何かに背中を押されるようにして
右手のナイフは彼の胸を刺していた
刃の先端が骨を突いて擦り
無惨な感触が指先に伝わる
泣き叫びながら夢から覚めた
心臓の鼓動が時計の音を
追い抜いてゆくのが分かる
我にかえったわたしは
胸をしめつけていた
両手をベッドに降ろした