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オオカミ君のホンネ
第18章 孤独の正体
染詠side

「ねーーーえーー!出ーーてーきーーてーーよーーーー!」

もうかれこれ20分、トイレの前で苛つきと格闘している。

「目が腫れて出ていける姿じゃない」

の一点張りでトイレから出てくる様子がこれっぽっちもない。

ピリリリリリリリリ……ピリリリリリリリリ…

そのとき、一件のメールがきた。

………そして五分後、
苛つきが爆発してつい

「……出てこないなら帰る!」

と悪態を吐いてしまった。
すると勢いよくドアが開いた。
思い切り足の小指を打ちつけて丸まっていると、のそりのそりと正樹が出てきた。見上げると怒りで鬼の形相をし、帰らせないと言わんばかりに腕を震えさせている。

……おまけに泣いてるし。

泣かないで欲しい

泣いてる奴はキライ

キライ

キライキライ…

「……はぁ…もう……お願い…泣かないでよ…泣いて欲しくないよ…」

と、そこでまた悪態を吐いてしまった。


泣いて欲しくないという想いには

思い出したくもない

忌まわしい想いがあったから。

そんな想いを創らせた、アノ忌まわしき元カノが

一週間後、この地に

帰ってくる。
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