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天使の恋 〜凛花〜
第1章 はじまり
チェンジの時間が来てボーイさんに呼ばれると、反対隣に座ってた翔ちゃんと呼ばれる連れの人に、
「このコ場内指名で!」
と言われてしまった。
「あ、俺じゃなくて拓也のね!俺は桃ちゃん一筋だから!」

こういうのをありがた迷惑っていう。
いや、指名もなにも寝てるし、ただ座ってるだけなら、他のお客さんに営業したいし…。

そんな私の気持ちなんか知る由もなく、翔ちゃんとついでに場内をもらった桃は、
「やーん嬉しー!もう1杯飲んでいーい?」
「おう、ガンガンいいよー!今日は全部社長持ちだから」
「じゃあ一緒にテキーラ祭りしよー!」
とはしゃいでいる。

みんなの話だと、拓也くんは30歳で、小さな施工会社の社長さん。
工業高校を卒業してからメーカーのに就職して、25歳の時、幼馴染の翔ちゃんを誘って独立したそう。

25歳、今の私と同じ年だ。
専門学校を出てはや4年、でもまだまだ下積み、ひよっこの私。

寝ている間、手はずっと繋いだままだった。
指名をもらっている以上、お酒作ったりテーブル拭いたり働かなきゃと思ったんだけど、なんだかこの手を離すことが躊躇われて。

結局最後までぐっすり寝た彼は、部下が勝手に延長した分をしぶしぶ一人で払うと、何事もなかったかのように帰っていった。

私の手はまだ彼のぬくもりでじんじんしている。

連絡先の交換すらしそびれてしまった。

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