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天使の恋 〜凛花〜
第3章 きづき
あれからも、彼は変わらずお店に来てくれて、変わらず穏やかに話をしてくれた。
私も少しずつ自分の話をするようになった。

ただ仕事が忙しいらしく、連絡の回数は減ってきて、来店の時間もだんだん遅くなっていた。

「忙しいんだったら、無理して来てくれなくてもいいんだよ?」
と言ったこともある。
「でも、会いたいから」
というような返事を期待して聞いたのだけど、
「それ、指名嬢の言うセリフ?」
とただ笑って返されただけだった。



ある金曜の夜、拓也は珍しくスーツを着て、閉店間際に一人で来店した。
作業着か私服しか見たことなかったから、その色っぽさにどきっとする。

「今日店終わったあと空いてる?」
「うん、大丈夫だけど…」
「飯、まだ食ってなくてさ、付き合ってよ」
初めての拓也からの誘い。
先に出て待っている彼の元に足早に向かう。

彼の話によると、大きな商談がまとまりそうだという。
今日はその打ち合わせで、そのあと夜中まで資料作りに追われていたそうだ。

「まぁ、まだちゃんと決まったわけじゃないんだけど」
と言いながらも自信みなぎる表情に、私も心から嬉しくなる。

「そっちは?昼の仕事どうなの?」
と聞かれる。

「順調だよ。次の現場では、デザイナー助手に付けてもらうの。たっくんから教えてもらったことも役に立ってる」
舞台の仕事では、習うより慣れよの風潮が強くて、あまり丁寧にノウハウを教えてくれる先輩はいない。
かと言って現場だけで学べることに限りがあることに悩んでいた私に、拓也は素材やデザインのことを教えてくれたり、おすすめの本を貸してくれたりしていた。
なにより、拓也に出会って仕事の話を聞いているうちに、私も積極的に手を挙げたり自己主張することができるようになっていた。

「よかったね」
と笑う、屈託のない、でもどこか色気のある表情に、どきどきする。

私は、きっとこの人のことが好きだ。

彼は、私のことをどう思ってるんだろう。

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