この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
 

「ええと、初めまして、サクラ。私は白雪と申します」



 わざと口にしたのは、"通称"。



 彼が誰だかわからない。

 そしてあたしは、追われる身だ。


 そのリスクを考えていても、あたしはその忘れかけていた本名を口にされたことで、あたしが知らない同じ名のシズルの身代わりに見られたことが、プライドを傷つけられた気がして。

 小さなプライドを護るために、白雪の名を口にした。 

 自分は別人なのだと線を引こうとした。


 だが――。


「えええ!? あなたは、シズル姫――っ!?」

「え……?」


「なんで、なんで白雪姫が、シズル姫がここに――っ!!」



 彼は知っていた。

 あたしがシズルという名の白雪だということに。


 父や母も呼ばなくなった、あたしですらもう忘れそうになっているその名前を、埋もれていた闇の中から掘り起こす。



―――姫、待っていて……必ず会いに行くから……。


 声が響く。


 優しげなあの声、まさか……?



 彼は、歓喜に満ちた顔を照れたように赤らめた。



「よかった……っ、あなたに会えて……」


 
 ねぇ、その柔らかな優しい口調が、あたしの王子様とだぶるのは気のせい? ねぇ、あたしにそんなに愛おしいという視線と声を向けないで。



「姫、ご無事でなにより」



 彼はあたしの前で片膝をつくとあたしの手を取り、手の甲に唇を落とした。まるであたしの騎士のように。


「あなたが城からいなくなったと聞いて、いてもたってもいられず。心配で毎日生きた心地がしませんでした。姫、姫。俺は――っ」


 見上げられる神秘的な黒い瞳に吸い込まれそうになる。

 滾る熱にとりまかれそうになる。


 ねぇ、あなたは誰?

 どうして初めて会うあたしに、そこまで懐かしそうな愛おしそうな顔をするの?
/779ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ