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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)

 
 ぐらぐら、ぐらぐら。


 あたしの心が揺れる。


―――姫、待っていて……必ず会いに行くから……。



 ねぇ、もしかして、あなたは……。




「しーちゃん……」



 揺れるあたしを現実に戻したのは、あたしの手をぎゅっと握り、ぽよんぽよんと膨れた腹を押しつけてくるハナタレナツだった。

 

「しーちゃん、"白雪"なの……?」





「「「「「「白雪姫なの!?」」」」」」



 ガタガタ、ブルブル。


 横一列にびしっと並んで怯える6人のナツ達同様、ハナタレナツもまた恐怖に満ちた目を向けていた。



 あたしが"白雪"であることが、どうしてこの子達を怖がらせることになるの……?




「違うよ、ナツ。このひとは、ただのシズルさんだ」



 そう、ふわりと笑ってナツ達の頭を撫でていったのは、サクラ。



「白雪姫ではない」



 あたしのこと、白雪姫だと言ってたのに。

 そしてシズルだと言っていたのに。


 優しくあやすようにナツ達を手に取り、身体に乗せて、サクラは微笑み続ける。



「ああ、シズルでもないな。このひとは"しーちゃん"なんだろう?」


「「「「「「うん」」」」」」


 一拍遅れて、


「うん」


 ハナタレナツが一列の端に合流。 


 
「お前達は"しーちゃん"が好きか?」



「「「「「「うんっ!!」」」」」」


 またまた一拍遅れて、ハナタレナツのお返事。


「うん!!」



 ああ、このサクラという男性が和やかに微笑んでナツを宥(なだ)めてくれたおかげで、恐怖に満ちた凍えた空気が緩和されて。


 ナツ達は本当に嬉しそうな笑顔でサクラにじゃれつき、サクラも一斉に語りかけるナツ達に嫌な顔ひとつせず相手をしている。


 機転がきくだけではなく、凄く優しいひとなんだ……。
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