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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)


「ケガするって……ケガしているのは、サクラよ?」

「そういう意味じゃない。大丈夫か? 吐き気ないか?」

「全然。それより……感じた?」

「……もうそれはいいだろ!?」

「よくない。感じたなら、ここでシズルって呼んで」

「……呼ぶものか」

「息乱れてるよ。凄く気持ちよさそうに目もとろんとしてる」

「な、こっち見るな!!」


 荒い息遣いのまま、ぷいと横を向いてしまう。


「こっち見て?」

「い・や・だ」

「あたし初めてだから触り方おかしかった? だからなの? 先っぽからぬるぬるしているのがとまらなかったの……」

 慌てて振り向いたサクラは、あたしを見てなにかを言おうとして、そして真っ赤になって黙ってまた反対側を向く。

 ……まさか。


「ねぇ、まさか。あっち見てるのって、あたしが裸だから、とか? きゃっ、ウブねぇ」

「……あんたが卑猥だからだ!!」


 耳まで赤い。


「真っ赤よ真っ赤。あはははは。可愛いなあ、凄く可愛い」


 あたし優位で進んできた上に、サクラの秘密を共有し、母性本能が擽られるサクラの反応を可愛く思ったその時。


「……調子にのるな」


 硬化した声。


 そしてあたしは押し倒されたんだ。

 ……両手をサクラに押さえつけられて。


「あんたは認めていないが、俺は"男"だ」


 あたしを見下ろす黒い瞳を見て、あたしははっとした。

 ようやく置かれていた状況がわかった。

 ……サクラは屈辱に憤っていた。


「あんたにもわからせてやるよ。自分がいかに"女"で、俺を惑わせる存在であるのか、……ここでのことは秘密だと、そう言ったのは……あんただからな」

 
 そこには――。


「可愛いなんて、もう……言わせない」


 子供のように狼狽していた姿も、真っ赤になっていた姿もなく、滾るような熱を孕みながら、欲情した目を持つ……美貌の"男"がいた。

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