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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)


 だからもう一度――。


「ん……っ」


 リップ音が出てしまい、スマートとはいえなかったが、しっとりとしたサクラの唇の感触を感じることができて、嬉しくなった。


 挨拶や親愛からとは違う、心震えるようなキス――。


 身体の芯に火が灯った。


「………てるんですか?」


 突然問われて、聞いていなかったあたしは聞き返す。



「……あなたは、他の男にも……こういうことしているんですか?」


 拗ねたようなむくれた声は、なにやら怒気を含んでいて、恋人でもないのに勝手にキスをしたから、気軽にするなと怒っているようにも思えて。


「……ごめんなさい」

「してるんですか!? 誰と!?」


 荒げられた声と共に、サクラの切れ長の目が吊り上がる。

 秘部にも、べちんとサクラのモノで叩かれて怒られた気がする。


「違う違うっ!! サクラに勝手にしてしまったことに対してよ。こういうこと、他にしたことないわ」


「……本当に?」

「本当よ。挨拶以外にキスしたくなったの、サクラが初めて」

「……初めて?」

「ええ。初めてよ」

 疑いが晴れていないのか、何度も問われるものの……あたしが真摯に否定する度に、サクラの眼差しが甘やかで熱の孕んだものへと変わっていく。


「姫……」

「シズルって呼んで」

「……姫」


 この眼差しでシズルと呼ぶのに、あたしは必要ないらしい。

 本人ではない妄想像に名を呼んでも、返事すらしてくれないのに、どうして現実のあたしを否定するの?

 シズルは、あたしなのに!!

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