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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
そして必ず結果は同じ。
――やあああんっ!! 助けて、モモちゃん、モモちゃん!!
助けを求められようが、ハルさんの威圧感に誰が逆らえるというのだろう。ハルさんは姫の襟首をつかんでぷかぷかと宙に浮かせると、それをずいと俺の前に出して。
――サクラ。困った時は、俺様を呼べ。知らない仲でもないんだし。
そう、にかっと……満足気でいて、無防備な笑顔をむけられれば、俺はハルさんに対して抱くもやもやなんて、消さねばいけなくなる。
そして、俺だけの権利を、ハルさんに譲ることになった。
――シズ――っ!!
――嫌ああああああ!!
そして兄弟は、姫とふたりきりの勉強時間までついてくる。
――ほう、お前は随分と頭がいいんだな。よし、ナツ。お前も教えて貰え。
――うん!!
姫とのふたりきりの時間が奪われていく。
ハルさんがとっても魅力的な男であることをよく知る俺としては、大好きな人達と共に過ごす時間は嬉しいのは間違いないけれど、俺がずっといた姫の隣に当然のようにハルさんが座っていることに、嫉妬と諦観とを織り交ぜたような複雑な気分を向けるようになってしまった。
……もう、さすがに、わかってしまう。
ハルさんは姫が好きなんだ。一緒にいたくてしかたがないんだ。
――ほっぺ抓ったらだめぇぇぇ!!
触りたくて仕方が無い。構いたくて仕方が無い。
……俺と同じ気持ちでいることに。
やることは暴虐にも見えるのに、姫がそっぽ向くと凄まじい落胆ぶり、そして時折見つめる熱っぽい眼差し。
……俺も、そうなんだろうか。
そして、ナツも同じだ。ハルさんに遠慮しているみたいだけれど、姫をしーちゃんと呼んで懐いて見つめる眼差しはただの好意や友情ではない。