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天使の恋 〜桃〜
第2章 変化
「カーリーって呼んでいい?」
「え、何で?」
「んー直感?イギリス人紳士っぽいんだもん!」

カリフラワーみたいな顔をしたそいつは、フリーで入ってきてドリンクも飲ませてくれないくせに、「今度休みの日にデートしようよ」とうるさかった。

やんわりかわしても食い下がってしつこいので、「じゃ詳しいことはまた電話で決めよー?」と言って名刺に電話番号を書いてやる。
もちろん金にならない客にほんとの連絡先は教えない。
自分の番号の080を、090に入れ替える。

090の人、ほんとにいたらゴメンね。

その日はラストのお客さんに場内が入っちゃって、私だけ上がるのが遅くなってしまった。

更衣室で着替えてると、店長の声がする。
「桃、俺先に送り行ってくるから、お前二便な?30分くらい待てる?」
「えー眠いからタクシー拾って帰るよー。鍵閉めとくから大丈夫ー」

今日も疲れたな。

あーあ、全部のお客さんが翔ちゃんみたいにかっこよかったら、仕事もちょっとは楽しくなるのに。

そんなことを考えながら施錠をして階段を降りると。

さっきのカリフラワー男が目の前に立っていた。

やばい…。

普段は十分気をつけてるんだけど、まさか3時間も待ってるとは思わなかった。

よりによって店には誰にもいないし、人通りも全然ない。

「お前よぉ電話繋がらねぇじゃん」
「…そう?書き間違えたかなぁ?」
「何しらばっくれてんだよ間違うかよ自分の番号。舐めたマネしやがって。俺はそーゆー女が一番嫌いなんだよ」
気弱そうに見えたのに、酔ってて目がイッちゃってる。

私だってあんたみたいな男が一番嫌いだ!
と言ってやりたいけど、それどころじゃない。

「なんか言えよ」

こいつ危ない。

右腕を掴まれそうになって目を閉じたその時。



「桃、待った?」
と、別の誰かに肩を抱かれる。

え…?

恐る恐る目を開けると、斜め上に、ニコニコ笑った翔ちゃんの顔があった。

「ウチのに、なにか?」
微笑んでるけど、すごい威圧感のある声。

「彼氏持ちかよ…舐めやがって…」

そんな捨て台詞をぶつぶつ吐きながら、カリフラワーは駅のほうへ去っていった。
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