この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
可奈さん
第4章 傘
バスタオルを首に掛け、傘をさして陽の落ちた外に出た。
雨は小雨に変わり、傘を叩く音も優しい。
さっきまで可奈さんを守る為に使ったつもりのこの傘が、彼女には辛い日の記憶として残ってしまうのだろうか。
もしかしたら雨の日も、もしかしたら俺の事さえ…
ユミを思った。
携帯のしつこい振動に気づいて出てみると、姉貴からだった。
「あ、タク?
あのさ、私、妊娠したの。アンタは来年おじさんだから」
「え…マジで?」
「そうよ、マジ」
「大丈夫なのか?
孝文さんと上手くいってんの?」
「ばかね、上手くいってるから妊娠したんじゃないの」
「まあそうだけど」
「たまには家に顔を出しなさいよ。子供が2人ともいなくなって母さん達寂しいんだから」
「気が向いたらね」
「まったく…」
携帯から洩れてきそうな大袈裟なため息が聞こえる。
雨は小雨に変わり、傘を叩く音も優しい。
さっきまで可奈さんを守る為に使ったつもりのこの傘が、彼女には辛い日の記憶として残ってしまうのだろうか。
もしかしたら雨の日も、もしかしたら俺の事さえ…
ユミを思った。
携帯のしつこい振動に気づいて出てみると、姉貴からだった。
「あ、タク?
あのさ、私、妊娠したの。アンタは来年おじさんだから」
「え…マジで?」
「そうよ、マジ」
「大丈夫なのか?
孝文さんと上手くいってんの?」
「ばかね、上手くいってるから妊娠したんじゃないの」
「まあそうだけど」
「たまには家に顔を出しなさいよ。子供が2人ともいなくなって母さん達寂しいんだから」
「気が向いたらね」
「まったく…」
携帯から洩れてきそうな大袈裟なため息が聞こえる。