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甘いだけの嘘ならいらない
第2章 カクテルに浸かる透明な嘘
頼まれていたお茶汲みをして、会議が終わって片付けをするまで、あたしは仕事に戻り、職務に没頭していた。
お昼前に会議が終わり、後片付けを済ませると、そのままお昼休みに入った。
いつもならデスクでお弁当を食べるけど、今朝は少し寝坊して時間が足りなくなってしまったからお弁当が作れなかった。
もともと朝は弱くて、英士くんと同棲を始めてからも、やっぱり弱いままだった。
そんな理由で、今日は外に食べに行こうと決めていた。
お昼をいつも一緒に食べている明日香に断って、お財布とスマホだけを持って、駅ビルでランチを済ませようとエレベーターに乗り込む。
ボタンを押そうとしたところで、指先が触れた。
「あ、すみません」
「いえ、こちらこそ。……って、雛月か」
「え?あれ、北条部長?」
少し驚いたような声に顔を上げると、北条部長が後ろに立っていた。