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甘いだけの嘘ならいらない
第9章 ただその刹那のためだけに
翔との関係を知られたあの夜を境に、英士くんは毎日必ず会社まであたしを迎えに来るようになった。
理紗のことを信じたいけど、理紗が約束を守ってもあの人が理紗に何をするかわかったものじゃないからと、英士くんは冷めた瞳で淡々と告げた。
あたしは反論する余地もなく、非がすべてあたしにあることを理解していたから、何も言わずにそれを受け入れてる。
優しい英士くんを傷つけて、こんなふうに疑心を持たせてしまったのは、他でもないあたしで、信用なんてしてもらえるとは思わない。
そんなの、到底ムリな話だった。