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甘いだけの嘘ならいらない
第2章 カクテルに浸かる透明な嘘


北条部長はまっすぐにあたしをみつめて、だから、と口元をゆるめる。


「出張決まったら、連れてくから。楽しみにしてな?」


勿論メインは仕事だけどな、と北条部長は笑みを溢した。


「で、折角だし、一緒に飯行くか?美味いとこ知ってるから」

「いいんですか?他の子に妬まれそう…」

「はは、何言ってんだよ。とにかく、嫌じゃないなら行こう。ここからすぐだから」





北条部長の言った通り、お店は会社のビルからすぐだった。


外観も内装も綺麗で、まだ新しそうに見える店内には女性も多く見られた。


「ローストビーフ丼ふたつ。1つは大盛りで、もうひとつは小盛りで」

「かしこまりました」


メニューは写真付きでどれも美味しそうだったけど、お店のイチオシはローストビーフ丼らしい。


あたしの好物でもあるし、北条部長におすすめされたこともあって、あたしはローストビーフ丼を選んだ。

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