この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘いだけの嘘ならいらない
第2章 カクテルに浸かる透明な嘘
北条部長はまっすぐにあたしをみつめて、だから、と口元をゆるめる。
「出張決まったら、連れてくから。楽しみにしてな?」
勿論メインは仕事だけどな、と北条部長は笑みを溢した。
「で、折角だし、一緒に飯行くか?美味いとこ知ってるから」
「いいんですか?他の子に妬まれそう…」
「はは、何言ってんだよ。とにかく、嫌じゃないなら行こう。ここからすぐだから」
北条部長の言った通り、お店は会社のビルからすぐだった。
外観も内装も綺麗で、まだ新しそうに見える店内には女性も多く見られた。
「ローストビーフ丼ふたつ。1つは大盛りで、もうひとつは小盛りで」
「かしこまりました」
メニューは写真付きでどれも美味しそうだったけど、お店のイチオシはローストビーフ丼らしい。
あたしの好物でもあるし、北条部長におすすめされたこともあって、あたしはローストビーフ丼を選んだ。