この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘いだけの嘘ならいらない
第9章 ただその刹那のためだけに
「ん……っ…ん」
「理紗、結婚しよう。まだ頼りないかもしれないけど、理紗のこと、必ず幸せにするから」
「英士くん……」
「もう一度、俺に恋をして。あいつじゃなくて、俺に。理紗の全部を、俺のものにしたい。理紗の心に、俺以外の男なんか、二度と入らせないで。……だから、もう忘れてよ」
英士くんは努めて明るくそう言って、あたしはそれが英士くんの本音のすべてだと思った。
優しい瞳が泣きそうに揺れてた。
あたしは、自分がずっと欲しかったものを思い出す。
英士くんと婚約をしたとき、幸せすぎて夢じゃないかって思って、嬉しすぎて涙が止まらなくて。