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甘いだけの嘘ならいらない
第2章 カクテルに浸かる透明な嘘
話をしているうちに、北条部長は仕事がデキるだけでなく、女性慣れしているところが多々見受けられて、こんなに素敵な人と結婚できた奥さんに少し憧れを抱いていた。
食べ終わって、北条部長に断ってお手洗いに行ってから戻ると、テーブルは綺麗に片付けられていて伝票もなく、
温かいお茶が置かれていた。
「あ、あの。北条部長…?」
「おかえり。会計はもう済ませたから」
「え、すみません!おいくらですか?」
「あー、いいよ。誘ったの俺だし、美味しそうに食べてくれたの見れたので十分」
「えっ、でも……悪いですよ」
確かに誘われたけど、だからって奢ってもらうのはなんだか申し訳なくて、あたしは眉を下げる。
北条部長は、お財布を手に困ったようにみつめるあたしに、くすりと笑う。