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甘いだけの嘘ならいらない
第10章 泣き虫な君には甘いだけの嘘を


土曜の午後、季節は初夏。


就職して3ヶ月が経ち、仕事にも慣れて、新婚生活も順風満帆だった。


久しぶりに大学で仲の良かった奴らと飲むことになって、俺は出かける準備をしながら、理紗のお願いに頭を抱えていた。


「理紗?あのね、本当に男ばっかなんだよ。しかも、奏多を除けば、皆まだ独り身ばっかり。女に飢えてる狼みたいなもの」

「……狼って」


大袈裟だよ、英士くん、とくすくす笑う理紗には、前から思ってたけどまるで危機感が足りない。


心配する俺の気持ちを汲んで、大人しくお留守番してて欲しいのに、理紗は、あたしも英士くんのお友だちに逢いたいなって、人の気も知らないでお願いする。


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