この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘いだけの嘘ならいらない
第10章 泣き虫な君には甘いだけの嘘を
土曜の午後、季節は初夏。
就職して3ヶ月が経ち、仕事にも慣れて、新婚生活も順風満帆だった。
久しぶりに大学で仲の良かった奴らと飲むことになって、俺は出かける準備をしながら、理紗のお願いに頭を抱えていた。
「理紗?あのね、本当に男ばっかなんだよ。しかも、奏多を除けば、皆まだ独り身ばっかり。女に飢えてる狼みたいなもの」
「……狼って」
大袈裟だよ、英士くん、とくすくす笑う理紗には、前から思ってたけどまるで危機感が足りない。
心配する俺の気持ちを汲んで、大人しくお留守番してて欲しいのに、理紗は、あたしも英士くんのお友だちに逢いたいなって、人の気も知らないでお願いする。