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甘いだけの嘘ならいらない
第10章 泣き虫な君には甘いだけの嘘を


恐る恐る、理紗は俺の反応を窺って、またにっこりと微笑む。


そう、この笑顔だ。


俺は理紗に弱い、特に、この笑顔には何度も何度も負けてきた。


「……理紗、部長とのこと、俺まだ忘れてないよ?」


ずっと話題を避けてきたあの出来事を、自ら掘り起こしたくはなかったけど、思わず吐いたため息とともに、俺は意識して悲しげに表情を変える。


理紗は小さく肩を震わせると、何も言えずに俺をみつめた。


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