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甘いだけの嘘ならいらない
第2章 カクテルに浸かる透明な嘘
♡ ♡ ♡
「あー、理紗センパイ、グラス空いてるじゃないですか。何飲みます?」
「えと……み、御堂くん、だいぶ酔ってるみたいだけど…大丈夫?」
「全っ然、こんなの酔ってないっす。誤魔化さないで、ほら、メニュー」
「あ、あの…あたし、りんごジュースで」
「だーめ。アルコールにしましょーよ、アルコールっ」
御堂くんは歓迎会が始まってからというもの、ぴたりとあたしにくっついて、上機嫌に飲み続けていた。
顔は微かに紅いものの、体調の悪そうな気配はなく、ただ、明らかにいつもより強気で様子が違う。
「…えっと、じゃあ……パッソアオレンジ」
「りょーかいです。すみませーん」
結局、御堂くんに押しきられる形で、あたしは梅酒とファジーネーブルに続いて3杯目のアルコールを注文した。
頭がぐらつくほど酔ってはいないけど、ふわふわと気持ちよくなってきたから、ほろ酔いあたりで止めておかないとよくない気がする。
あまり飲みすぎないようにと英士くんとの約束もあるし、記憶をなくすまで飲むような大人にはなりたくない。