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甘いだけの嘘ならいらない
第2章 カクテルに浸かる透明な嘘


通話を切って、顔を上げると、北条部長はじっとあたしをみつめていた。


「……彼?」

「はい。終わったら、迎えに行くから連絡してって。寝ないで待ってるから、って」

「ふうん。愛されてるんだな」

「もう、からかわないでくださいってば。北条部長だって、奥さんとラブラブなんでしょー?」

「さあな」


口元を笑わせて揶揄する北条部長に、くすくすと笑うと、またはぐらかされる。


北条部長は奥さんの話をあまりしたくないのかと思って、話題を変えて、鳴海くんたちが戻ってくるまで、あたしたちは当たり障りのない話をしていた。


時計が23時40分を過ぎた頃、終電がなくなる人もいるからお開きになって、お会計を済ませた。


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