この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘いだけの嘘ならいらない
第3章 背徳の恋
「……あたし、帰らなきゃ」
そう告げながらも頭はぼーっとしてるし、身体に力が入らなくて、自己嫌悪する。
結局は立てずに、ずるりと少しだけ姿勢がずれただけだった。
「……そんな状態で帰れるのか?」
男に酔わされたなんて、どんな顔して言えばいいのかわからない。
「…北条部長には、大事な奥さんがいるでしょ…」
「……来週、離婚する。ずっと前から決まっていた話だ。今回の旅行は、俺からあいつへの最後のプレゼント」
「り、こん……」
「ああ。原因はいくつかあるが、あいつと一生ずっと寄り添っていく…そんな未来を思い描けなくなった」
「そう、なんですか…」
何て言っていいのかわからなくて、言葉を濁すと、気に留める様子もなく、北条部長は続けて聞いた。