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甘いだけの嘘ならいらない
第3章 背徳の恋


「北条部長には、あたしなんかよりもっと可愛い子がいると思います。知らないかもしれないけど、北条部長に憧れてる子、多いんですよ」

「へえ。俺が理紗を好きだと知って、それで他の女を見ろなんて、つれないな」

「だって、…それは」

「俺はおまえを知りたい。心も、身体も。深いところまで、全部、溶けてしまうくらい」


北条部長はせつなそうに視線を伏せると、あたしの唇に指先をなぞらせて、薄く唇を開かせる。


顎をすくわれて、ぎゅっと瞼を閉じたら唇が触れて、ウィスキーの苦みがふわりと鼻腔を掠めた。


「っ、ん…」


半個室になっているお店に連れてこられたときから、こうなることは予想できていたはずなのに、拒む一瞬の隙すら与えられなかった。


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