この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘いだけの嘘ならいらない
第3章 背徳の恋
「北条部長には、あたしなんかよりもっと可愛い子がいると思います。知らないかもしれないけど、北条部長に憧れてる子、多いんですよ」
「へえ。俺が理紗を好きだと知って、それで他の女を見ろなんて、つれないな」
「だって、…それは」
「俺はおまえを知りたい。心も、身体も。深いところまで、全部、溶けてしまうくらい」
北条部長はせつなそうに視線を伏せると、あたしの唇に指先をなぞらせて、薄く唇を開かせる。
顎をすくわれて、ぎゅっと瞼を閉じたら唇が触れて、ウィスキーの苦みがふわりと鼻腔を掠めた。
「っ、ん…」
半個室になっているお店に連れてこられたときから、こうなることは予想できていたはずなのに、拒む一瞬の隙すら与えられなかった。