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甘いだけの嘘ならいらない
第5章 優しさだけのアイロニー


♡ ♡ ♡


『理紗?』

「英士くん、着いたよ。まだ改札の中だけど」

『ん。もう改札出たとこにいるから。理紗、真っ白なワンピースに黒のパンプスだったよね?俺、赤のパーカーにジーンズだから。わかる?』


小さな駅だから、改札はひとつだけ。
英士くんの言葉にきょろきょろと周りを見回す。


「えっと……」

『あ、見えた。まっすぐ歩いてきて』


言われた通りに改札を出てまっすぐ歩いていくと、英士くんが軽く手をあげてくれる。


スマホの通話を切ると鞄にしまって、英士くんのそばに寄ると、英士くんは人目も気にせずあたしをぎゅっと抱きしめた。


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