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甘いだけの嘘ならいらない
第5章 優しさだけのアイロニー
「でも、もういい。理紗のそんな泣きそうな顔見たら、もう…赦すしかないし」
「英士くん、ごめんね…あたし……」
「うん。だけど、約束して。こんなのはもうこれっきりにして。絶対に、音信不通にはならないで」
「…約束、するね」
「これから、こんなふうに夜更かしとか朝帰りとかなっても…どこにいて、誰と何してても、夜中でも、朝でも、俺のこと忘れないで…」
「……うん」
「好きだよ、理紗。だいすき」
英士くんの優しい澄んだ瞳に、全部見透かされるんじゃないかって思った。
本当のことを話したら……
英士くんは、どんな顔をするの。
好きだって、だいすきだって、もう言ってはくれないかもしれない。
そんなはしたない女は嫌だって、きらいだよ、って、冷たく罵られるかもしれない。
俯いて唇を噤んだあたしを変に思ったのか、英士くんはあたしの頬に手を添えて上を向かせると、じっとみつめてくる。