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甘いだけの嘘ならいらない
第5章 優しさだけのアイロニー
♡ ♡ ♡
家に着くと、英士くんはお風呂にお湯をためてくれた。
それを待つ間に着替えやバスタオルを用意して、15分くらいでお風呂が沸いたことを知らせる電子音が鳴り響く。
「英士くん、あたしお風呂入ってくるね」
「うん。ゆっくりしておいで」
「ありがとう。寝ちゃってもいいからね」
「大丈夫、ちゃんと起きてるから」
一睡もしないで待っていてくれたから、きっとすごく疲れてるし眠いはずなのに、英士くんはにこりと笑って首を振った。
「理紗、お風呂から上がったとき俺が眠っちゃってたらさみしいだろうから」
「…うん」
「約束しただろ。理紗にさみしい思いはさせないって」
英士くんは髪を撫でて、唇にそっとキスをすると、ふっと口元をゆるめた。
「俺が約束守らなかったことある?」
「…ううん」
「だから、心配しないで。それにもし、眠ってる間に理紗がいなくなったら、俺はきっと自分を責めるから」
「英士くん…」
「いまは俺の睡眠より、理紗がそばにいるって、温もりを感じたい。離したくない……」