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甘いだけの嘘ならいらない
第5章 優しさだけのアイロニー


「理紗、早かったね。いつもはもっとゆっくり浸かってくるのに」

「う、うん…なんだかのぼせちゃって」

「大丈夫?冷たいもの入れるから、ちょっと待って」

「ありがと…」


英士くんはすぐに冷蔵庫から出した冷えた玄米茶をグラスに注いで、手渡してくれた。


あたしがソファに腰を下ろすと、英士くんはガスの火を止めて、食器棚からお皿を出して盛りつける。


キッチンから立ち込める良い匂いにちらりと視線を向けると、英士くんは微笑む。


「お腹空いたでしょ。あ、でも湯あたりして気分悪いなら、食べられない?」

「あ…」

「無理しなくて良いから、少しだけでも口に入れた方がいいよ。空腹で気分わるくなることもあるし」

「うん、そうだね。ありがと」


時計を見ると11:25と表示されていた。


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