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甘いだけの嘘ならいらない
第6章 騙されてあげる、それは君が好きだから


明日香と行くなんて嘘で、本当は翔に誘われて交わした約束。
だけどそんなの、英士くんには言えない。


ひとつ、またひとつと、英士くんに嘘を重ねてゆく自分が嫌になる。


前までのあたしなら、こんなふうに、内心はともかく見た目には平然と秘密を作ることや嘘を吐いたりなんて、できなかったのに。


「……何時くらいになるの?」

「えっと、映画が19時からだから…遅くても、23時には帰ってこれると思う」

「そっか。……じゃ、終わったら連絡して。迎えに行く。その条件でなら、いいよ」

「……うん、わかった。約束するね」

「約束だよ。…大丈夫と思うけど、一昨日のことがあるから、心配なんだよ」


英士くんはせつなげに瞳をゆらすと、あたしの耳に唇を押しあてる。


罪悪感に苛まれながらも、素直に感じる身体はぴくんとふるえた。


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