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唇に媚薬
第2章 不器用プリンス
「どうして、鈴木さんにあの質問をされたんですか?」
フロアに戻らずに、缶コーヒーを飲み始めた俺を見て
佐伯も反対側の椅子をひいて、俺の正面に座った。
「皆さん笑ってましたけど、私は驚きました。
瀬名さん、仕事中はほとんど冗談言わないから」
……冗談、か。
すげー真面目だったんだけどって、言えねぇな。
「何かあったのかなって。
鈴木さんと同じで、私も心配です」
「…………」
25歳とは思えないほど、佐伯は落ち着いていてゆっくりと話す。
この場所には今俺達しかいないのもあり
「……自信を、失ったから」
俺は夜景に目を向けたまま口を開いた。
「自信?」
「蓮の言葉を鵜呑みにするほど、自惚れてるわけじゃねぇけど
……あんなに、完全否定されるとは思わなかった」