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白い飛沫(しぶき)
第10章 順也と理恵…それぞれの道
一方、アメリカの理恵の方は
ジュニアハイスクールを卒業するころには、
アメリカで知り合ったユウと人前でもキスできるようになった。

郷に入っては郷に従えというように
理恵は自分の環境の適応力に感心した。

「リー(理恵)今度の週末、
湖へキャンプに行かないか?
ほら、秋になって卒業してしまうと
日本へ帰ってしまうクラスメートもいるしさ、
みんなで思い出作りをしようって計画さ」

「いいわね。賛成よ」

学校の南西に大きな湖があった。
予約さえしておけば宿泊できるバンガローも多数あったし、
思い出作りの場所としては最適だった。

そこなら自転車で出かけることが可能だし、
食材などはメンバーの父兄が自動車で調達してくれることになった。

当日は天気にも恵まれ、湖でスイミングしたり、
近くをサイクリングしたり
楽しいひとときを過ごした。


キャンプファイヤーを囲みながら
ユウがリーに話しかけてきた。

「リー、今夜、君を抱きたいんだ」

「や~ね、なに言ってんのよ」

理恵は最初、
ユウ(雄介)が冗談を言っているのかと思った。

雄介のバンガローには
クラスメートの男子が雄介の他に
三名が泊まりこむことになっていたからだ。
そんなところで初体験?絶対に冗談だと思った。

「クラスメートの三人には無理を言って、
他のメンバーのバンガローに泊まってもらうことにした」

「ちょっ、ちょっとみんなも一体なにやってんのよ。
これじゃあ計画的夜這いじゃない」

「・・・俺、内緒にしてたけど、
今度、日本に帰るんだ・・・」

「えっ?」

「帰国する前に君を抱きたい・・・
君を愛した証が欲しいんだ。
俺がこの国を離れたら、
俺の後釜を狙っている奴がわんさかといる。
そんな奴らより先に君を抱きたいんだ・・・」

ユウの頬を一粒の涙が落ちた。
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