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白い飛沫(しぶき)
第3章  里中先輩
夏がきた。

僕は、理恵ちゃんを追いかけて、テニス部に入部していた。

テニスになんかまったく興味はないが、理恵ちゃんと少しでも一緒にいたいという不純な動機だけど、とにかくクラブ活動に精をだした。

夏休みに入ったとたん、夏合宿とかで、僕たちは長野県の高原へ来ていた。
合宿の練習はきつかったけど、理恵ちゃんの側にいられるだけでとにかく幸せだった。

合宿最終日の前夜、部員みんなで思い出を作ろうと、肝試しをすることになった。

小高い丘の上に祠があって、そこに用意してあるテニスボールを取ってくるという単純な肝試しだ。

どうせやるなら、男女ペアが面白いということで、くじ引きでペアを決めることとなった。

『どうか、理恵ちゃんとペアになりますように・・・』

僕が引いたくじは、7番だった。
ラッキーセブンだ。どうか、理恵ちゃんも7番でありますように・・・

こんなに祈ったのは、生まれて初めてだった。
だが、僕の祈りも届かず、理恵ちゃんは3番くじを引いてしまった。

まったく人生って甘くないもんだ。
女子の7番は副部長の里中さんだった。

「がんばろうね。順也くん。」

「よ、よろしくお願いします。」

「あれえ、私と組むのイヤだった?。」

「そ、そんなことないっす。」

「そっ。よかった。順也くんは男子なんだから。しっかりエスコートしてね。」
テニスで真っ黒に日焼けした笑顔の里中さんは、きれいなお姉さんって感じで、見つめられるとドキドキしてしまった。
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