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向日葵を君に…
第11章 向日葵を君に…
夏休みに入って間もない時の事。
家にちよ子が遊びに来ていて、二人で過ごしているとケータイが鳴った。
「あれ?槇野…何で私に電話掛けてきてんの?」
「へ?弘貴から?」
槇野から連絡がくるなんて珍しい。
一応交換したくらいで、特に連絡を取り合った事はなかった。
「…もしもし?」
「た…高野…」
槇野の声が震えていた。
これはただ事ではないことがすぐにわかる。
「どうしたの?」
「…………あ…の…わり…うまく喋れねぇ…ッ…」
「ちょっと落ち着いてよ…何かあったの?今どこにいるの?」
…槇野が泣いてる?
「……駅前の大学病院」
それを聞いて私の手も震えた。
「すぐ行く」
ケータイを切ると私はなんだか立っていられなくて、その場に崩れるように座りこんだ。
そして、すぐに穂高に電話を掛ける。
穂高は電話に出ない。
穂高…お願いだから出てよ…。
何度も掛け直すけど、同じ事の繰り返し。