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夜の密会
第3章 第三夜
「悪い。声かけなければ良かったかな。外から見えたから、もしかしてと思って寄ったんだ。」
「いいえ、いいえ…違うんです。大丈夫です…っ」
ああ、まずい。また涙が、
そう思った時にはすでに涙は大きくなって瞳の外から溢れていた。
泣いたら困らせてしまうのに、なんだか部長の声は安心してしまって、ホッとする。
「やっぱり帰っ…「待ってください!」」
部長が踵を返したとき、私はとっさに引き止めた。
「でも…」
戸惑う部長は今どんな顔をしているんだろう。
上を向いたら、汚い顔を見せることになるからそれもできない。
私は部長のスーツの袖を摘んで、行かないでと意思表示をした。
「なにか、辛いことがあったのかな」
優しい声で問いかける部長に、さらに涙が溢れ出す。
足元に跪いて私の顔を覗き込む部長に、見られないようにさらに下を向く。
「拭いても綺麗にはならなそうだな。とりあえず外に出る?」
「外に出たら、見られてしまいます…」
「車すぐそこに停めてるから、そこまで我慢してくれれば大丈夫」
どう?と聞く部長に少し考える。
車に乗っても…
同じことじゃない….