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夜の密会
第3章 第三夜




職場の上司に失礼なことを言っているのはわかっていた。
それでも、今日は1人ではいたくない。

かと言って、32歳にもなって未経験の自分。

ああ、振られた理由はそれだったのかな。
拒んでいたわけでもない。
誘われることもなくはなかった。

きっと自分に魅力を感じなかったのかもしれない。


そう思ったら虚しくなったけれど、もうどうでもよかった。



部長の顔を見ることも出来ない。

取り消せたらいいな。やっぱり家に帰ったほうが良いのかも…


頭の中でいろいろな考えが浮かんでいる中、静かに車が発進した。


驚いて部長に振り向くと、真剣な表情で目の前を見つめていた。



「ぶ、ぶちょう…」


「帰るなら今だ」


静かに、低い声でいう部長は怖いというわけではない。


「本当にいいんだな」


「……っ、はぃ…」


答えた瞬間、車のスピードが上がった気がした。


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