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煮詰めたシチュー
第10章 雑記 哀しい病
   
自分の車に戻ってエンジンをかけようとした時、ズボンの股から裾にかけて犬の毛が付着しているのに気付きました。
手のひらを見ると首輪についていた鋲が食い込んだあとがくっきりとついていて、よほど力が入っていたのか、指がプルプルと小さく震えていました。

エンジンをかけてハンドルを握っても、なかなか震えが止まりません。
やがて手の震えは力みからきたものではなく、男の子の両肩が震えていたのと同じ種類のものだと気付きました。



   
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