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煮詰めたシチュー
第10章 雑記 哀しい病
   
手のひらに刻まれた首輪の跡とズボンに付いた毛。
こと切れた愛犬の前に立ちつくす男の子。

鮮やかなオレンジ色の袖と、男の子の華奢な首筋が脳裏にはっきりと浮かび、どうしようもなく涙があふれました。
感情の昂ぶりを抑えきれず、私も車の中で大声で泣きました。

万感こもごもに至り、胸の中に熱湯が噴き出たような、そんな熱を身体の芯に感じました。

ありのままの感情。怒りは怒りとして、哀しみは哀しみとして、喜びは喜びとして、はっきりした区別をもって自分の感情を掴み直したような、¨抜けていた¨ものが戻ったような感覚がありました。



   
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