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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第3章 妄想が現実を塗り潰していくまで
外は今日も雨だ。
昨日よりも風が激しく、雷雨になるだろうと言われている。

徐々に闇が迫ってくる。
静かに、滑るように、けれど微かな雷鳴をともなって。

若葉は手についたケーキの欠片を舐めている。
唇には、はみ出したクリームがついていた。

腕を伸ばし、親指でぬぐってやると、若葉がびくっとする。

その反応に苦笑する。
おまえ、今まで俺との接触を避けてたもんな。

やっぱり何もなかったフリなんて無理だろ、若葉。
こうやってちょっと突いただけで、おまえの演技なんて脆く崩れ去る。
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