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花に酔う
第4章 椿 *
「関わりたいんだ……関わらせてよ最後まで……っ……」
君に。
小さい頃から好きだった君の生涯に。
行き場のないまま宙に留まっていた僕の手がその左腕に触れたとき……君は拒まなかったから。
だからそのまま、そっと掴んだ。
「今さら突き放さないでよ……頼むから……」
その自分の手を見つめながら口にする。
「……ひとりで逝かせたくないんだ」
大好きな君の最後が。
寂しいものでなんてあっちゃいけない。
その姿を、知らない誰かが目にするかもしれないなんて――――耐えられない。
だってどうしたって僕はやっぱり君が好きだから。
君の残酷さを知っても。
幼い頃から君だけを見てきた僕には、どうやったって君から離れることなどできないから。
「最後まで僕が見届ける。
……見届けさせてほしい」
もう。
僕ができることがないと言うのなら。
君の決意をどうやったって変えることができないのなら。
せめて。
最後まで関わらせて――――。