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花に酔う
第4章 椿 *
「……もう、彼には会った?」
そんなことを思いながら口にした問い。
君が僕にくれたその身体を抱き締めながら。
「本当に残酷だよね…」
自嘲気味に浮かべた笑み。
……それでも離れられなかったのは僕の方だけど。
今さらながらその気持ちが分かった。
『心は彼が持っていってしまった』と言った君の気持ちが。
だって君も。
……僕の心を持っていってしまったから。
その空っぽな感覚。
きっと。時間と共に大きく……深くなっていくんだろう。
君がそうだったように。
僕もそうなるんだろう。
……願わくば。
どうか君が今幸せでありますように。
こうまでして願った、彼との再会。
会えなかったなんて。
幸せじゃないなんて言ったら――――。
「……許さないから」