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第1章 　紅薔薇

……夢を、見た。


私を愛おしそうに見つめる貴方。
黙ってその視線を受け止める私に、その唇が何か言葉を紡ぐ。

聞こえない。
けれど、貴方の目が優しいから。
きっとそれは私にとっては幸せな言葉なのだろう。

首を傾げても、貴方はただ同じように無音の言葉を繰り返すだけ。


――そして記憶は、いつもそこで途切れて。