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花に酔う
第1章 紅薔薇
愛してた。
貴方を本当に愛していた。
だからこそ、いつか不意に貴方がいなくなってしまいそうで、こわくて。
貴方の想いが私から離れていく日が来るんじゃないかと、とても、こわくて。
いつかいなくなってしまうなら、せめて。
突然ではなく、それが少しずつ分かるように。
貴方の心が少しずつ私から離れていくのが分かるように。
そんなふうに……仕向けてしまっていたのもしれない。
貴方の心を先に手放したのは、私。
だから私には後悔する権利など、多分……ない。
どうして素直になれなかった?
素直に信じられなかった?
夢の中で貴方が紡ぎ出す言葉の意味は、多分貴方の真実だったのに。
気付くのは、たいてい終わってしまった後。
手放してしまった貴方の想い。
留まったままの私の想い。
絡み合って、私の心を締め付ける――――。